大型連休が本格化する4月下旬。昨季ダントツ最下位だった西武が、ここまでは11勝12敗の借金1と健闘している。直近10戦は4連勝の後に4連敗を喫した後、再び連勝。投手陣の充実と、解消されない貧打が同居し、浮き沈みの多い戦いとなっている。翻って昨季の同時期はどうだったのか。比較してみたい。
昨季は3カード連続勝ち越しの好発進も…
昨季は出足に限ると理想的だった。敵地での楽天との3連戦で、開幕戦で今井達也が勝ち星を挙げ、連勝して2勝1敗で発進。ホーム開幕3連戦のオリックス戦も平良海馬、1年目の武内夏暉が好投して連勝し、2勝1敗。さらに日本ハム戦でも黒星の後に連勝し、3カード連続の勝ち越しを決めた。
だが、ロッテに0ー5で完敗してから暗転する。ロッテに2連敗後、ソフトバンクにも3連敗し、本拠地で5連敗。さらに再びロッテに2連敗し、計7連敗。6勝3敗の貯金3から、10敗で借金4に。楽天戦で連敗を止めたが、1勝2敗で負け越し。オリックス戦も1勝2敗で、5カード連続負け越しとなった。ここまでで8勝14敗の借金6。今季はこれに比べると改善されていることがわかる。
ここから大型連休に入った昨季は、敵地のソフトバンクで3試合連続のサヨナラ負けという屈辱を味わうことに。日本ハムにも敗れ、4月終了時には借金が10に膨らんでいた。
5月に入ってすぐに2度のサヨナラ勝ちを含む3連勝と持ち直したかに思われたが、同月中旬から8連敗。5月26日に松井稼頭央監督が休養となり、渡辺久信監督代行が就くこととなった。この時点で15勝30敗の勝率.333。その後も浮上することなく、49勝91敗3分けで球団ワーストの負け数を記録し、勝率.350で監督交代前後でほぼ変わらなかった。
得点力不足は継続も打率と盗塁は上昇
昨季の傾向を引き継ぐのが得点力不足で、ここまで23試合で58得点はリーグ最少。平均2・5得点では寂しい。本塁打もリーグ最下位の7本で、最多25本の日本ハムの3分の1以下と迫力不足は明白だ。複数本塁打を打つ選手はまだいない状態。長打が最も期待された新加入のセデーニョが1本塁打のみで、打撃不振により登録を抹消されているのが痛かった。
一方、目立つのが盗塁数で、ここまでリーグトップの21。1試合にほぼ1盗塁を記録している計算だ。開幕時は2番で、途中から1番に定着している西川愛也がここまで7盗塁で、リーグ単独トップ。失敗が一度もないのが素晴らしく、昨季の8盗塁にすでに並びそうだ。開幕当初は1番で、途中先発から外れながら再び下位打線や2番で戻ってきた長谷川信哉も4盗塁でリーグ4位。若獅子2人がダイヤモンドを駆け抜けている。
長打力はすぐに改善するものではないだけに、機動力を絡めて1点でも多く取っていく細かい野球を突き詰めていくしかない。
ルーキー渡部驚異の打率.453
昨季との最大の違いは、何といってもルーキー渡部聖弥の存在だろう。けがで一度登録を抹消したものの復帰。ここまで14試合に先発して53打数24安打の打率.453。長打は二塁打1本と三塁打1本のみだが、27日のオリックス戦で2打席連続タイムリーを放つなど勝負強さを持っている。
その落ち着きぶりは、すでに風格を漂わせる。登録抹消時を挟み、現在4戦連続のマルチ安打。オリックスの太田椋が打率4割ちょうどと絶好調だが、規定打席に達すれば再び首位打者争いを展開する勢いがある。
外野手陣はこれで1番西川と3番渡部でほぼ固定か。長谷川がまだ打率.154と上がってこないが、どこまで我慢して使うかにも注目したい。
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