西武が3日からの交流戦を前にした50試合で、27勝23敗の貯金4で、首位日本ハムと2.5ゲーム差、2位オリックスとゲーム差なしの3位につけている。昨年はこの時点で15勝30敗の借金15で、松井稼頭央監督が休養。渡辺久信GMが監督代行を務める事態となったが、今季は予想以上の健闘を見せている。リーグ上位の投手力とそれを支える堅守、そして貧打が解消に向かっていることが大きい。
西口ー鳥越体制で変革か
2軍監督だった西口文也氏が新監督に就任し、OB以外から鳥越裕介氏をヘッドコーチ、仁志敏久氏を野手チーフ兼打撃コーチに招聘。現状はこの体制が機能していると言える。
投手出身の指揮官ならではの采配が光る。投手陣は今井と隅田が圧倒的な投球で、左右の柱として君臨していることは言うまでもない。この2人以外は渡邉、菅井、高橋、與座らを状況に応じて登録抹消も挟んでうまく回しているほか、左腕武内が戻ってきたのも大きい。
中継ぎ陣は3連投させず、連投した場合など平良をベンチから外すなど長丁場を見据えた起用が見て取れる。今季1軍デビューした山田は、負担の軽い状況から経験を積ませ、結果が出ると勝ちパターンに昇格。初めて失点して負け投手となった翌日、打たれた同じ打者にぶつけてリベンジさせるなど成長につなげるチャンスを与えたのが象徴的だった。
鳥越ヘッドコーチの厳しさもチームに植え付けられ始めている。昨季9月以降に4番として定着しながら、オープン戦時に女性との密会で遠征に向かう飛行機に遅刻した佐藤龍は2軍で結果を残しているが、いまだに1軍に上がってない。チームとしては守備でリーグ最少の19失策と、キャンプでの鍛錬と実戦の集中力の高さが数字に表れている。
打線は1、4番が固定
昨季との大きな違いは、懸案だった打線の核が出来つつあるということだ。開幕時はオープン戦で機能した1番長谷川、2番西川、3番ネビンでスタート。だが長谷川が不調で1番を外れると、昨季まで経験を重ねてきた西川が1番打者としての才能を開花。一時より打率は下がったものの、ここまで全50試合に先発して規定打席でリーグ8位の打率.275。56安打を放ち、うち二塁打13本、三塁打1本、本塁打4本、自己最高の11盗塁をマーク。俊足を生かした守備範囲の広さと強肩でセンターに君臨し、走攻守でチームを牽引している。
さらに、近年目立った活躍がなかった助っ人として、ネビンが期待を上回る働きぶりを見せている。4番として期待されたセデーニョが長らく不調で、3番から4番に打順を変更。全50試合に先発して打率はリーグ10位の.271で5本塁打、26打点と早くも初挑戦のNPBで順応し、長打も増えている。守備でも一塁手として好プレーが光り、投手との連携でも呼吸を合わせたトスでアウトを量産している。
序盤は不調にあえいだ長谷川が、ここに来て殻を破りそうなのも大きい。長らく打率1割台に沈み、打順も1番から下がり、スタメンを外れることもあった。だがチームとしての期待は大きく、守備でもチームを救う好プレーを随所に見せ、チャンスを与えられてきた。仁志コーチの指導も大きいだろう。
転機は5月24日のロッテ戦で放った2本塁打。強振しなくてもしっかり芯をとらえてスタンドに運び、ここから7試合連続ヒットを重ねた。打率も.218まで上がり、盗塁も五つを記録。元々持つ打撃センスはピカイチなだけに、実戦を重ねて選球眼を磨くことで打率が上がり、ホームラン、盗塁も増えていきそうだ。
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