西口監督 指揮官でも”ノーノー”未遂

試合雑感

3月11日(火)13時・ベルーナドーム

阪神 000 000 000|0

西武 000 000 100|1

(神)伊原、工藤、早川ー坂本、町田

(西)菅井、平良、佐藤、ラミレス、ウィンゲンターー是澤、炭谷

 多くの野球ファンや関係者の脳裏に、あの光景がよぎったに違いない。九回2死。西武は5投手が無安打でリレーし、あと一人に。新外国人ウィンゲンターが前川右京に投じた2球目、センターへ抜けそうな当たりをショート滝澤夏央が好捕。反転して素早く一塁に投げ、タイミングはアウトだったが、一塁平沼翔太が伸ばした足が一塁から離れたとしてセーフに。ここで西口文也監督が、リクエストを要求。しかし覆らず、「H」の欄に「1」が刻まれた。

 西口監督が現役時代に3度、目前でノーヒットノーランを阻まれたという稀有な記録は先日の記事で紹介したばかり。選手としてのみならず、指揮官としてまたもー。と、話題にしやすいところだが、まだオープン戦で、しかも5人のリレーであって、こじつけと言われればそれまでだ。ただ、あえてその話を続けるとすれば、最終的に勝利を手にしたのも現役時代と同じである。

 本拠地でのオープン戦初戦を完封で飾り、西口監督は「何も言うことはございません。ナイスゲームです」と相好を崩した。

 この日はなんといっても先発左腕、菅井信也が流れを呼び込んだ。140キロ台後半の直球を主体に、スライダーを交えて低めに制球。昨年11月のプレミア12で侍ジャパンの4番を務めた森下翔太から三振を奪うなど一回、二回と三者凡退に封じた。三回と四回はいずれも先頭打者にストレートの四球を許すが、走者を背負っても緩急を織り交ぜ、後続を切って取った。指揮官は「四球の出し方は悪かったが、(それ以外の)投球内容自体は良かった。徐々に状態が上がって今のところ問題ない」と評価。開幕ローテーション入りへ「狙ってもらわないと困ります」と期待を込めた。

 山形県の山本学園高校出身で2021年の育成ドラフト3位で西武入り。2軍で好投を続けて昨年6月に支配下登録を勝ち取った。高卒3年目に先発で5試合を投げ、7月15日には本拠地でオリックスを相手に7回91球、被安打3の無失点でプロ初勝利。低迷するチームの連敗を「8」で止める立役者となった。

 この日は菅井の好投に続き、平良海馬、佐藤隼輔、ラミレス、ウィンゲンターとリリーフ陣が付け入る隙を許さず。つながりを欠いていた打線も七回、2死一、二塁から今季1番として定着が期待される長谷川信哉がしぶとくレフト前へ運んで決勝点に。オープン戦はこれで3連勝。四回無死一、二塁の絶好機での平沢大河のバント失敗は反省材料だが、「投高打低」の近年はこういった投手戦で勝ちを拾う粘り強さが鍵を握るだろう。

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