売り子撮影禁止に反響

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 他球団に先駆けての判断が、大きな反響を呼んでいる。西武ライオンズが3月7日、球団公式ホームページで次のように発表した。

 2025シーズンより、お客さまによる売り子の撮影および売り子との写真撮影を禁止させていただきます。売り子の安全な就労を行う観点から、こちらもご理解のほど何とぞよろしくお願いいたします。

 タイトルは「売り子でのキャッシュレス決済の導入ならびに一部サービスの変更について」。冒頭ではグッズ販売を除く全ての売り子のキャッシュレス決済を導入するという趣旨の説明だが、読み進めていくと先述の呼びかけにたどり着く。

 スポーツ紙など各媒体で記事が出ており、SNS上では惜しむ声は一部で、おおむね好評で「全球団で禁止すべき」という声も上がっているという。

 これまで全国の球場を訪れてきた中で、売り子を撮影したり、一緒に撮影したりする場面に遭遇したことはないが、SNS上で批判を浴びた一部ユーザーはそれを目的とする人もいるようだ。球団がこの決断に踏み切ったのは、売り子の「安全な就労」を理由に挙げているだけに、一部の観客による迷惑行為が目に余るものだったのではないか。労働者が安心して働くための環境を整えるのは雇用者の義務であり、当然の判断だ。このルールが定着すれば、他球団にも波及していくだろう。

 球場を訪れる観客の目的は人それぞれだ。試合観戦をゆっくり楽しみたい人、応援に熱を入れる人、日常を離れて球場の雰囲気を味わいたい人、パフォーマンスチーム(西武なら「ブルーレジェンズ」)を見たい人ー。いずれも自由でいいと思う。

 一方、売り子の業務はあくまで販売だ。売り子同士の販売競争もあり、接客力は高いに越したことはないだけに、撮影を求められれば断りにくいだろうが、過剰なサービスと言えるだろう。売り子の業務が阻害されたり、他の観客の視界を遮ったりする恐れがあるほか、無断撮影でSNSに拡散されれば売り子にとってのリスクは高まる。

 観客にとって売り子からビールなどを買う最大の利点は、試合中に席を立たずに好きな時に買えることだ。売店に買いに行くと、見届けたい大事な瞬間を逃す可能性がある。コップにビールを注いでもらう間に短い雑談をする程度にして、キャッシュレスでスムーズに会計。売り子が千円札を折りたたんでたくさん手に挟むお馴染みの光景はなくてもいい。タイムパフォーマンス(タイパ)重視の流れに合い、いずれ男性の売り子も増えるかもしれない。サービスは最小限にして業務効率を上げ、価格を割安にした上で利益も増えれば、三方良しではないだろうか。

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